BOOST規格について
- 2017/08/28
- 07:09
皆さんはBOOST規格をご存じでしょうか? ロードバイクにお乗りの方や、クロスバイクにお乗りの方はあまり聞き覚えの無いワードだと 思いますが、MTBにお乗りの方なら一度は聞いた事があるかも知れません。 このBOOST規格とはハブの規格なのですが、現時点でスルーアクスルやQRなどの軸部分は別に機会にご説明するとして、どんな規格があるのかと言いますと・・・ (フロントハブ) 74mm(一部小径車) 85mm(一部小径車) 93mm(一昔前のスポーツ車など) 96mm(一昔前のスポーツ車など) 100mm(クロスバイクやロードバイク、QRのMTBなど) 110mm(BOOST規格のMTBなど) (リアハブ) 85mm(一部小径車) 110mm(旧ピストバイクなど) 116mm(トライアル車など) 120mm(ピストバイク、旧スポーツ車や一般車など) 126mm(旧モデルのロードバイクなど) 130mm(クロスバイクやロードバイクなど) 135mm(QRのMTBやクロスバイクなど) 142mm(スルーアクスルのMTBなど) 142mmプラス(主にスペシャライズド系MTB) 148mm(BOOST規格のMTBなど) 150mm(DHバイクなど) 157mm(DHバイクなど) 上記以外にも多くの軸長のハブがありますが、上記の種類の物は比較的多く普及したサイズになっています。 規格はかなり乱立している様にも見えますが、最近はロードバイクやクロスバイクはリア130mmで落ち着いてきています。 しかしMTBでは現時点でもまだまだ一つのサイズで収まるに気配はありません・・・(笑) そしてロードバイク業界でも着実にスルーアクスル化(リアエンド幅142mm)の波はきています。 上記表を見て頂いて分かる通り、BOOST規格の物は、DHバイク用を除き、前後どちらも一番幅が広い事がお分かり頂けると思います。 それではまず何故一番幅の大きいBOOST規格が登場したのかをご紹介したいと思います。 |
BOOST規格が何故登場したのか MTB業界では26インチが当たり前だった時代から29インチが登場し一世を風靡しましたが、その何年かすると両者の中間サイズでもある27.5インチが登場し、日本人にベストなサイズとして流行し、GIANTが全ての主力モデルのMTBを27,5インチにした事によりさらに世界での27,5化が進行しました。 しかしそこで問題になってくるのが外径が小さい26インチの時代に定義されたリアエンド幅135mmでは横に方向への力に対しての強度不足が問題になりました。 そこで軸自体を太く、そして拡大すれば解決するのでは・・・?っと投入されたのが142mm(12mmスルーアクスル)なのですが、 その後スペシャライズドはさらにフランジ自体を外にずらすことでスポークのバランスを適切化し、尚且つ強度が上がるという理論から142mm+(X-12)規格と言う規格をリアハブまで独自開発で出してしまいます。 その後はいろいろな裏事情もありやはり他社はノーマルの142mmを多く採用していましたが、その後ファットバイクブームがありましたがその流れで太いタイヤの快適性、グリップの良さ(空気圧を通常より下げられる為)などが評価され、様々なセミファットタイヤが登場しました。そこで業界が遂に一つの各メーカでも作れるセミファットタイヤ(ファットタイヤ)向けの共通規格として登場したのが今回の題でもあるBOOST規格なんです。 ![]() 上記の表は非常にわかりやすく書かれている表で、特に142mmになった事によってフランジ幅も大きくなっている事がわかります。さてここで気が付いた方もいると思うのですが実は142mmまではスプロケットを固定する位置は変わっていないんです!つまり同じにする事によりチェーンラインは変わらないので従来のクランクを使っても変速性能の低下は起こらない様に工夫がされていました。 所がどっこい、スペシャ系の142mm+とBOOST規格ハブに関しては注意が必要で、142mm+ならスプロケの固定位置が+2mm、BOOSTなら+3mmになっています。 さてでは何故これが注意が必要なのかといいますと、従来のクランクを使ってしまうとリアは3mm外側へ出てるのにフロントチェーンリングはそのままになってしまい、フロント変速がある場合、変速性能が落ちてしまうんです。そこでやはり専用品が必要なのですが、実はシマノからもBOOST専用クランクが登場しているんです。 ![]() 新型SLXのダブルクランクですが、チェーンラインが3mmオフセットしていて148mmフレーム専用クランクとなっています。 これが意味する事は一つ、フロントがダブル以上の場合でBOOST専用じゃないクランクでの使用は変速性能の保証も出来ないし原則として互換性はありません。とのコメントとも取れます・・・(笑) BOOST規格のメリット デメリット BOOST規格が何故広まっているのかはもちろん各MTBメーカーが推している事もありますが、それだけではなくやはり何かしらのメリットがあるからメーカーさんも作り、ユーザーも求めるの物なのですがではその何かしらのメリットとは何なのか。 メリット1 ハブフランジ間の距離が増大するので横剛性が上がるだけでなく、ホイール自体の強度も上がるのでペダリングロスの減少。 メリット2 2,8~などのセミファットタイヤなどに対しての強度も十分で、ワイドリムと組み合わせる事でタイヤの性能を100%引き出せる。 メリット3 現時点での最新規格の為、当分はパーツ供給に困らない。 しかし勿論メリットだけでは無く同時にデメリットも存在します。 デメリット1 BOOST規格はハブの幅自体が特別サイズの為、フレーム、サスペンション共に専用設計になる事。(従来の135mmや142mmなどのフレームには装着が出来ません。) デメリット2 スプロケットなどが飛び出してチェーンラインが3mm出るので、従来のダブル以上とのクランクとの組み合わせが出来ない。(BOOST専用クランク、チェーンリングが必要) デメリット3 幅も大きくなるため、重量が重くなる などなど重量などの面もあるので本人のMTBの使い方に合わせてチョイスしていただくのがいいかもしれません。 しかし最近では軽量なパーツが選択されやすいXCレースでもBOOST規格採用のバイクが走っている事もあるので、重量のデメリットもそこまで気にする必要は無いかもしれません。 BOOST規格を採用した完成車も最近は多く登場していて、 MTBの大手メーカでもあるGTのパンテラシリーズもBOOST規格を採用したシリーズで少しご紹介させていただきます。 PANTERA EXPERT(パンテラ エキスパート) 18年モデル ![]() エキスパートは11-46Tの超ワイドスプロケットと27,5×2,8のセミファットタイヤでハードテイルながらもダウンヒルでも楽しめるMTBになっています。 PANTERA COMP(パンテラ コンプ) 18年モデル ![]() コンプはエキスパートと同様の27,5×2,8のタイヤ幅を採用しながらコンポーネントなどの価格を抑える事により、お手軽にフロントBOOST規格を体感頂ける車種になっています。 |